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取扱業務【事業承継】について

 オーナー経営者が事業を確実に後継者に承継させるためには、遺言書の作成や生前贈与等の様々な方法により、後継者に株式や営業用の財産を適切に引き継ぐ必要があります。
 何も対策を講じずにいると、もしものときに相続紛争や会社内紛争を引き起こすことになりかねません。
 注意していただきたいのが、遺言がない場合の自社株の取扱いです。オーナー経営者死亡時から遺産分割協議が成立するまでの間、遺産は共有状態となります。オーナー経営者が持っていた自社株についても遺産分割が終了するまでは各相続人が法定相続分に従って共有持分を持つことになります。
 例えば、全株式数が500株の会社のオーナー経営者が300株を保有し、後継者である長男が取締役となり200株を保有しているケースを例に考えます。オーナー経営者が死亡し、その法定相続人が長男(後継者)、二男(非後継者)、三男(非後継者)の3人である場合、1株1株が長男、二男、三男の3人で3分の1ずつ共有する状態になるのです。3人が300株を3等分して100株ずつ保有する状態になるわけではありません。
 そして、株式が共有状態となっている場合、会社法では共有者が議決権等の権利行使を決定するとしていますが、共有者の意見が一致しない場合、権利行使者は持分の過半数によって決定されます(有限会社の社員の権利に関する最高裁第3小法廷判決H9.1.28)。そのため、上記の事案では、二男と三男とで共有持分の合計が3分の2となり過半数を得ることができますので、遺産の300株全てについて二男と三男の意向で議決権を行使することが可能となり、この状態は遺産分割が終了するまで続くことになります。長男が200株保有していたとしても、株式総数の過半数に達していないので、二男と三男が議決権行使を決定できる300株で株主総会の議決が取ることができてしまいます。極論すれば、二男と三男が株主総会で長男を取締役から解任するなどして会社の経営権を奪うこともできてしまうのです。
 現実には、それまでに経営にタッチしてこなかった二男、三男が、自社の経営内容を熟知する長男から経営権を奪おうと画策する事案が頻発する訳ではないと思いますが、法的には長男は不安定な地位に置かれることとなります。不安定な地位を速やかに解消しようとして長男が不利な条件での遺産分割に応じなければならない事態も考えられます。
 遺留分の問題があるため完全とはいえませんが、以上のような状況を回避するためには、遺言や生前贈与により後継者に自社株を集中させる措置をとることを検討しなければなりません。


遺言書の作成

 自分が死亡した後に後継者が会社の支配権を確立するために、遺言書の作成により、後継者となってくれた相続人に対して株式や営業用の財産を相続させることが1つの方法として考えられます。
 遺言書は、自筆で署名・押印することで作成することもできます。これを自筆証書遺言といいますが、自筆証書遺言の場合、有効要件を備えていないケースが散見されます。せっかく遺言書を作成したのに形式的な面で無効となり、いざというときに役に立たないのでは意味がありません。そのようなケースを避けるため、当事務所では遺言を残す際には公証人役場で公正証書遺言を作成することを勧めています。
 ただし、公正証書遺言の中にも、後継者以外の相続人に対する遺留分に対する配慮が見受けられない遺言書も散見されます。遺言者が他の相続人の遺留分を侵害し、将来遺留分に関する紛争が生じうることを承知の上でそのような遺言をするのであれば仕方がないことかもしれませんが、やはり、せっかく公正証書遺言を作成するのであれば、相続発生後に遺留分の紛争を生じさせてしまうのは可能な限り避けたいところです。
 私見ですが、遺言書を作成するのであれば後継者以外の相続人に対する遺留分に配慮し、各人の遺留分に相応する財産を残しておくのが望ましいと思います。
 また、後継者以外の相続人に対して既に生前贈与等により遺留分に相応する財産を与えているのであれば、その具体的な内容を遺言書に記載したり、記録に残しておくなどの方法で、自分の死後に遺留分減殺請求の問題が生じたときに後継者が困らないようにしておくことが望ましいと思われます。


生前贈与

 生前贈与は、オーナー経営者が生きている間に後継者に財産を贈与するものですので、オーナー経営者の生前に後継者への権利移転が完了する点で最も確実な方法といえます。
 生前贈与が一定額以上となれば贈与税がかかりますので、その対策も必要となります。
 まず、贈与税には暦年課税制度と相続時精算課税制度の2つの方法があります。
 暦年課税制度は、1月1日から12月31日までの間に贈与された価格に対して贈与税を課税する制度で、贈与者、受贈者に制限はありません。1年あたり110万円の基礎控除額が認められていますが、基礎控除を超えた部分について最高50%の累進税率が定められています。相続時には、基本的には贈与財産は切り離して計算されますが、相続開始前3年間の贈与は相続財産に加算されます。
 相続時精算課税制度は、相続人となる子どもに対する贈与で、これを選択すると贈与時に軽減された贈与税を納税し、相続時に相続税で精算することができる制度です。贈与者は65歳以上の親、受贈者は20歳以上の子どもであることが必要ですが、2500万円までの特別控除額が認められ、特別控除額を超えた部分については一律20%の税率が定められています。
 2つの制度には一長一短がありますので、個々のケースに応じて選択することとなります。ただし、いずれにおいても推定相続人に対する贈与は特別受益となり得うることには注意が必要です。第三者に対する贈与が遺留分減殺請求の対象となるか否かについては民法上期間の限定がありますが、推定相続人に対する特別受益となる贈与については期限はありません。暦年課税制度において相続財産に加算される贈与が相続開始前3年間のものであることと混同して、3年以上前の贈与は特別受益にならないと誤解している方もいますが、推定相続人に対する贈与については何十年も前のものであったとしても特別受益となり得ますので気をつけなければなりません。


民法の遺留分に関する特例

 遺言書を作成しても、生前贈与をしても、遺留分の問題はつきものです。
 遺留分問題に対処するために遺留分放棄の審判を利用することができます。これは家庭裁判所で放棄者の真意を確認した上で審判により認められるものです。
 遺留分放棄の審判に加えて、昨今中小企業経営承継円滑化法において、民法の遺留分に関する特例が定められ、贈与株式等を遺留分算定の基礎から除外すること、及び贈与株式等の評価額を予め固定化することが認められるようになりました。これらの特例には後継者及びその他の推定相続人の合意や経済産業大臣・家庭裁判所への申請が必要ですが、関係者全員の合意が得られる見込みがある場合には活用を検討しても良いでしょう。


納税猶予制度

・ 相続税の納税猶予制度
 後継者が、相続・遺贈により先代経営者である被相続人から自社の株式を取得した上で、一定の条件を満たす場合には、後継者が納付すべき相続税のうち自社株の相続税の80%について納税猶予制度の適用が認められます。猶予された相続税は、一定の条件を満たした上で後継者が死亡した場合などはその全部または一部が免除されます。
 ただし、あくまでも納税を猶予されているに過ぎませんので、株式を譲渡したり、要求される報告を怠ったりした場合などには納税の必要があります。
・ 贈与税の納税猶予制度
 後継者が、先代経営者から自社株式の贈与を受けた上で、一定の条件を満たす場合には、贈与税の納税の猶予が認められます。この猶予された税額は、先代経営者や後継者が死亡した場合などは納付が免除されます。
 ただし、これも上述の相続税の納税猶予制度と同様に、株式を譲渡するなど一定の場合には納税の必要があります。
以上の納税猶予制度は、中小企業経営承継円滑化法により近年制定されたものです。まだ制定されて間もないものですが事業承継にあたっては検討したいところです。
 もっとも、これらの制度の利用にあたっては各種申請、報告が必要であり相応の手間と費用がかかります。また、納税猶予税度が要求する条件を満たさなくなった場合には、猶予された納税額について利子税を付して納付する必要も出てきます。このような手間、費用、リスクを考えると、納税猶予制度を利用する実益があるのかの検証は必要でしょう。